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注意したい薬の飲み合わせ

薬を2種類以上飲む時には、相互作用に注意する必要があります。
以下に挙げるのは、ほんの一例であり、他にも色々と注意するべき組み合わせはありますので、ひとつの参考としてお読みください。


効果が増強される薬の組み合わせ

よく似た作用の薬を一緒に飲むと効果が強くなりすぎたり、副作用が出やすくなったりすることがあります。
一般的に解熱薬、消炎薬、鎮痛薬、咳止め薬などには、よく似た成分が含まれていることが多いので、
一緒に飲むと、眠くなったり、胃を荒らしたりすることがあります。
【風邪薬】 × 【栄養ドリンク】
総合風邪薬×栄養ドリンク
風邪薬にはカフェインが含まれるものがあり、カフェイン入りの栄養ドリンクを飲むとカフェインの過剰摂取となり、不眠・イライラ・頭痛などの原因となります。風邪薬を服用している時はノンカフェインのドリンクを選びましょう。
> 配合成分が分かる栄養ドリンク一覧表はこちら。
【風邪薬】 × 【葛根湯】
総合風邪薬×葛根湯
同じ作用をする成分が入っていることがあるため、併用すると作用が増強され思わぬ症状が出る恐れがあります。併用は避けましょう。
【便秘薬(酸化マグネシウム配合)】×【総合胃腸薬(酸化マグネシウム配合)】
便秘薬(酸化マグネシウム配合)×総合胃腸薬(酸化マグネシウム配合)
「酸化マグネシウム」という成分は、胃酸を中和する働きがあることから、低用量では制酸剤として総合胃腸薬にも含まれていることがあります。高容量では便を柔らかくする働きもあり、お腹が痛くなりにくい便秘薬としても広く使われています。
酸化マグネシウムが含まれる総合胃腸薬と、便秘薬としての酸化マグネシウムを併用することで、作用が増強し、下痢を引き起こす可能性があります。

効果が減弱される薬の組み合わせ

反対の作用の薬を一緒に飲むと、互いに打ち消しあい、効果が弱まったり、なくなったりすることがあります。
また、成分同士がくっつくことで、腸管から吸収されにくくなって、効果が弱まることもあります。
【便秘薬(ビサコジル配合)】×【制酸薬】【乳製品】
便秘薬(ビサコジル配合)×制酸薬・乳製品
ビサコジルを主成分とした便秘薬は、刺激性が高いため「胃(酸性)で溶けずに腸(弱酸性~弱アルカリ性)で溶ける」ように工夫されています。

一方、制酸薬は胃酸を中和させる働きがあります。
また、薬ではありませんが、乳製品にも胃酸を中和させる働きがあります。

ビサコジルを制酸薬や乳製品と一緒に摂ると、せっかく腸で溶けるように工夫された便秘薬が胃で溶けてしまい、腸まで届かず効果が弱まったり、胃が荒れて腹痛をおこすおそれがあります。
【抗菌剤(テトラサイクリン系・ニューキノロン系)】×【制酸薬・総合胃腸薬(酸化マグネシウム配合)】【乳製品】
抗菌剤×制酸薬・総合胃腸薬・乳製品
テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌剤と、ミネラルを含む胃腸薬を一緒に飲むと、ミネラルが抗菌薬にくっつき、腸管からの吸収を妨げるため、どちらの薬も効果が弱くなることがあります。

例えば、下記のミネラルを含む薬に注意が必要です。
– アルミニウム
– カルシウム
– マグネシウムなど

また、乳製品もカルシウムが豊富に入っているので同じように注意が必要です。

★乳製品の影響を受ける薬を服用する場合は、乳製品を2時間程度、食べたり飲んだりしないでください。

副作用が強く出る薬の組み合わせ

【風邪薬】 × 【せき止め】
総合風邪薬×せき止め
せきを早く抑えたいため、風邪薬とは別にせき止めを使いたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかしせき止めの作用がある「ジヒドロコデインリン酸塩」は多くの風邪薬にも含まれております。「喉の渇き」が強くなり症状が悪化することもあるので併用は避けましょう。
【風邪薬】 × 【痛み止め(解熱鎮痛剤)】
総合風邪薬×解熱鎮痛剤
風邪を引いた上に頭痛などが起こると痛み止めを服用したくなるかもしれませんが、どちらも副作用で胃を荒らす成分が含まれております。副作用が出やすくなる場合があるので併用は避けてください。
【アレルギー性鼻炎薬】 × 【胃腸薬】
アレルギー性鼻炎薬×胃腸薬
胃けいれんを抑える「ブチルスコポラミン臭化物」と、鼻炎薬が含む「抗ヒスタミン薬」にはどちらも喉の渇きの副作用があります。
> ブチルスコポラミン臭化物が含まれる医薬品はこちら。
> アレルギー性鼻炎薬はこちら。
【アレルギー性鼻炎薬】 × 【酔い止め薬】
アレルギー性鼻炎薬×酔い止め薬
抗ヒスタミン薬には眠気の副作用があります。併用すると強い眠気により仕事や乗り物の運転に影響が出る可能性があるので注意してください。
> 酔い止め薬はこちら。
> アレルギー性鼻炎薬はこちら。

私たちの日常の生活において欠くことのできない食品の中にも薬に対して影響を及ぼすものがあります。
次に、そのようなものについて触れておきます。

相互作用が考えられる 医薬品×健康食品

一般的には、服用している医薬品と同じような働きを期待する健康食品を食べると、医薬品の効果が強く出すぎる可能性があるので、注意が必要です。
【薬】×【セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)】
ストレスや不眠が気になる方に人気のセントジョーンズワートを含む健康食品は、下記の医薬品と併用することで、効果が弱まることが知られています。

– 抗うつ薬
– 抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)
– 抗凝固薬(ワルファリン)
– 経口避妊薬
– 強心薬(ジゴキシンなど)
– 抗HIV薬(インジナビルなど)
– 気管支拡張薬(テオフィリンなど)等

相互作用が考えられる 医薬品×食品

【風邪薬・鼻炎薬(カフェイン)】×【カフェイン入りドリンク】
カフェイン
風邪薬や鼻炎薬にはカフェインが配合されているものがたくさんあります。
カフェイン入りドリンクと併用することで、カフェインの過剰摂取になり、興奮して眠れなくなったり、頭痛を引き起こすことがあります。

例えば、下記のドリンクに注意しましょう。
– 栄養ドリンク
– コーヒー
– 紅茶
– 緑茶など

【ビタミンA、D、E、K】×【乳製品】
乳製品は脂肪分が多いので、脂溶性の高い薬は溶けやすく、吸収が早くなったり、血中濃度が高くなって効きすぎることがあります。ビタミンの中でもA、D、E、Kは脂溶性です。水溶性ビタミンのように尿で排泄されないので過剰に摂りすぎると害になることもあります。

【制酸薬】×【ジュース類】
酸性の果汁や炭酸飲料は、制酸薬の作用を弱めることがあります。
【薬】×【グレープフルーツ(フラノクマリン)】
グレープフルーツ
下記の医薬品を服用中に、グレープフルーツを食べると、薬が効きすぎたり、副作用が現れやすくなることがあります。

– 免疫抑制剤(シクロスポリンなど)
– 高脂血症治療薬(アトルバスタチン、シンバスタチンなど)
– 降圧薬(アムロジピン、ニフェジピンなど)
– 抗不安薬(トリアゾラム、エチゾラムなど)

グレープフルーツの成分であるフラノクマリン類が、これらの医薬品の肝臓での代謝を阻害します。
グレープフルーツの薬物への影響は2~3日続く場合もあると言われていますので、上記の薬を服用中は、グレープフルーツを摂らないようにしましょう。

グレープフルーツ以外に「フラノクマリン」を含む果物

フラノクマリンは、グレープフルーツの他にも下記の柑橘類に多く含まれています。

– ダイダイ
– はっさく
– 夏みかん
– ライム
– レモン(果皮の部分)
– 日向夏(果皮の部分)など

他にもポンカン、伊予柑、柚子、すだち、かぼすなどにもフラノクマリンが含まれますが、上記の柑橘類よりも少量で影響が少ないとされています。(※温州みかん、デコポンに、フラノクマリンは含まれていません。)

フラノクマリンを多く含む柑橘類には、下記の特徴があります。
– 果肉が白い柑橘類
– 果肉よりも果皮に多く含まれる

なお、白い果肉のグレープフルーツは、赤い果肉の倍のフラノクマリンが含まれており、ジュースだけでなく果肉を食べる際にも注意が必要です。

また果皮に多く含まれているので、果皮まで使ったジャムやジュースなどにも注意してください。
【血液をサラサラにする薬(ワルファリン)】×【納豆・クロレラ・青汁(ビタミンK)】
ワルファリンは、血液をサラサラにする薬の中でも、血液を固まりにくくして血栓ができるのを防ぐお薬です。 血液を固めるには、ビタミンKが必要ですが、ワルファリンはビタミンKの働きを阻害することで血液を固まりにくくします。

納豆を食べると、腸内でビタミンKが合成・生産され、ワルファリンの働きを弱めてしまう(全く効かなくなることも!)ことになるので、ワルファリンを服用中の方は、たとえ少量でも納豆を食べてはいけません。
※納豆の影響は、数日間持続すると言われています。

納豆の他にも、クロレラ、青汁などもビタミンKを多く含むため、これらも食べないようにしましょう。


緑黄色野菜にもビタミンKは比較的多く含まれていますが、これらは日常食べないと栄養不足になってしまうので、毎日大量に食べなければ、問題ありません。
【血液をサラサラにする薬】×【カモミール・ニンニク・ショウガ】
ハーブティでよく使われているカモミールには沈静作用があり、気分がリラックスできますが、血管を拡張させる作用もあります。
ニンニクやショウガにも血流をよくする働きがあり、食事からの摂取量を超えてサプリメントから摂る場合などは、血液をサラサラにするお薬の作用を増強させて出血のリスクを高めることがあります。
【薬】と【アルコール】
アルコール
アルコールと薬を一緒に飲むと、胃や小腸からの吸収や、肝臓での代謝において、相乗作用(効果増強)や拮抗作用(効果減弱)が働くことがあります。薬がアルコールの代謝を阻害すると、頭痛や吐き気、顔面紅潮など二日酔いのような症状を引き起こすことがあります。

下記、アルコールと共に服用した場合に起こることが多い症状です。

●セフェム系抗菌薬を服用時に飲酒した場合

セフェム系抗菌薬服用中に、飲酒すると二日酔い症状が1週間以上続くこともあるので、服用中は飲酒を控えましょう。

●中枢神経に働く薬を服用中に飲酒した場合

中枢神経に働く薬には、抗うつ薬や睡眠薬、抗ヒスタミン薬などがあります。
アルコールには中枢神経抑制作用があるので、飲酒時にこれらの薬を服用すると、認知機能や精神運動機能の低下、強い眠気などが出ることがあります。

眠れない時に、アルコールと一緒に睡眠薬を服用すると、効きすぎて朝まで睡眠薬の効果が残り、起床時にふらつくこともあり、危険です。

●降圧薬を服用中に飲酒した場合

アルコールには末梢血管拡張作用もあり、降圧薬を服用している場合は、相乗効果により血圧が下がりすぎることがあります。

●糖尿病薬を服用中に飲酒した場合

アルコールは肝臓でブドウ糖の生成を阻害するため、糖尿病薬と併用すると低血糖が生じることもあります。

ちなみに!
一昔前、貧血で鉄剤を服用する前後1時間は、お茶を飲んではいけないと言われていましたが、最近の研究では鉄剤にはたくさんの鉄が含まれていることもあり、お茶と一緒に飲んでも問題ないとされています。

飲み薬は、コップ一杯の水かぬるま湯で、指定通りのタイミングで飲みましょう。

食事が摂れなかったけれど食後の薬を飲まないといけない時は、消化吸収されやすいクッキーの1枚だけでも食べて、胃を保護するようにしましょう。


飲み薬は体全体に影響を及ぼすものであるということを忘れず、安易な気持ちであれもこれもと飲むようなことは決してしないでくださいね。 
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